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五本能の器を総て満たす必要性



五本能は、それぞれコップのような容器を持っている、と想像して下さい。
一生を終わるまでに五本能の総てを満杯できれば、その人の人生は“人間としての仕事をし終えた”完成した人生と言えます。(P42)

私たちは、人の度量や人間性を表現する際、「器」という言葉を用いて理解しようとします。また、「器」は人によって差異があるようで、努力や苦労、様々な人生経験によって器は大きくなっていくようにも思えます。しかし、物理的に器があるわけではなく、人によって感じ方も多種多様ぼんやりとそう感じているに過ぎません。

五本能人生論によれば、「人間は欲望を充たすために生きている」のでありますが、人間の本能というものは万人一様のものであり、五種類の本能、すなわち、生命本能、生殖本能、安楽本能、慈愛本能、信頼本能に分別されると定義されています。器も五本能の数だけあり、心の中心の五本能から発生した欲望を、欲求して成功すると、その欲望を発生させた源の本能は、ちょうどコップに水が注がれるように少しずつ充たされて行き、その度に“楽しさ” “嬉しさ”を感じます。

「人間は欲望を充たすために生きている」のでありますが、具体的には、五本能の総てを満杯にすること、すなわち「人間は、自分の五本能の完全充実のためにその人生を生きている」わけです。

ところで、なぜバランスよく総ての五本能の器を満杯にする必要があるでしょうか。現代社会においては、何かに特化すること、あるいは偏っていることも一つの個性と捉えることができるのではないか、という疑問が沸き起こってきます。(…ちなみに、五本能人生論を読んだ仲間たちとディスカッションをすると必ずといってよいほど論点にあがるのがこのテーマです…)

さて、この点を深く理解するために、五本能の器について自己評価してみることとします。あくまで実験ですので、自己評価の方法は何でも構いません。私の場合は下記の方法で自己評価を行いました。

・10点満点で評価を行った。
・これまでの人生を振り返り、また、特に直近1年間を評価対象とした。
・五本能に対して欲望を充たし、「嬉しい」「楽しい」と感じ度合いについて
 1~3点:あまり心が満たされていない
 4~6点:日々の生活の中で不満はないがとても満たされているとは言えない
 7~9点:積極的に欲望を充たそうとしていて、心も十分に満たされつつある
・自分勝手な解釈、採点で構わない。
・その点数をつけた理由を書き出してみる。





自己採点の理由を書き出してみると、安楽本能ばかりが大きく、信頼本能、慈愛本能が満たされていないことに気づきます。良い意味で言えば、自分らしく思うままに生きていくために努力をしているつもりではありますが、日々仕事に追われ、いつのまにか、人を愛すること、生物を愛すること、すべてのものに慈しみ労わることから離れてしまっていた気がします。

人は一人では生きていけません。この地球、自然、植物、動物たちがいなければ生きていけません。いくら仕事に奔走して、自由を勝ち取ったとて、喜び合える仲間、愛し合える家族、生きる場所がなければ、幸福な人生とは言えません。五本能のコップをバランスよく満たしていこうとすると、自然と充実不足の本能が見えてきます。特に人は、慈愛本能と信頼本能を後回しする傾向があります。慈愛本能と信頼本能から発生する欲望は、すべての欲望と密接に絡み合って人生に潤いを与えます。

いみじくも、直江氏は著書でこのように予言しています。


自分の五本能の中で、充実不足のものを考えて下さい。
普通は「慈愛本能」が最も充実不足になっています。
何かを無償で慈しむことが、どれ程楽しいことかを大急ぎで悟り、
その日から実行すれば良いのです。(P232)

五本能容器の自己採点、皆様もぜひお試しください。なお、その点数を付けた理由を書き出してみることをおすすめいたします。




このコラムを書いた人:杉山英治

企業ブランディング戦略構築コンサルタント。
薬師堂グループのCI構築に携わる過程で五本能人生論に出会い、「人間は何のために生きているのか?」という壮大なテーマの泥沼に陥る。
株式会社デザイントランスメディア 代表取締役。



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