薬師堂グループの創業者である直江 昶(なおえ とおる)は、実業家であり発明家でもあった父、衛(まもる)と母、シヅのもと、昭和2年1月15日に福岡市で生まれました。その後、地元の修猷館、海軍兵学校などで学びました。第二次世界大戦においては福岡大空襲を経験しました。
戦前、昶の父は精密機械や合成樹脂成型品を製造する会社を経営していましたが、戦火でほとんどの工場設備を失ったため、家業を再建すべく、昭和21年秋に筑紫野市針摺(現弊社所在地)に一家で移り住みました。そこで新たな事業として搾油機製造に取り組み、昶は主に設計・開発、販売を担っていました。
ある日、昶は工場内の鋳鉄場で転倒し、高温の鋳鉄釜に左手をつき大火傷を負ってしまいます。黒焦げになるほどの昶の左手を救ったのは、偶然手に入れていた馬肉に付いた脂肪でした。この運命的な馬の油との出会い以後、昶の頭から馬の油の不思議が消えたことはなく、仕事の傍らで、馬の油の実験研究を始めました。
昭和46年
有限会社筑紫野物産研究所を創立し、梅雲丹や馬の油の研究や製造を本格的に開始しました。
当初は、作っては失敗を繰り返し、ようやく完成した商品も売れずに在庫が膨らみ、廃業寸前に追い込まれました。その後、徐々に梅雲丹が売れ始め、効果が知られるようになりました。一方、馬の油はその独特の臭いが故、お客様にはなかなか受け入れられませんでした。昶は全く知られていなかった馬油を日本中に広めるために、全国の百貨店を飛び回り、馬油の試供品を無償で配布。お客様一人一人にその効果や使い方を伝えました。
昭和63年
馬油に関する発明「皮膚の化膿を予防する外用剤」を特許出願、平成6年登録。
化粧品製造のソンバーユ株式会社(代表取締役 直江 和代)を創立。
同年秋、それまで馬油は食用油として販売しておりましたが、ようやく皮膚保護用の化粧品成分(原料)として厚生省(当時)から許可が下りました。
馬油の用途は幅広く、しかも効果が高い。尊いものであることから、「尊い馬油」と言う意味を込め、商品名を「ソンバーユ(尊馬油)」に改め、化粧品として世界で初めて販売を開始しました。
平成元年
販売会社として株式会社薬師堂(代表取締役 直江 和代)を創立。
同年、長年の研究結果をまとめた書籍『馬油と梅雲丹の研究』を発行。
平成2年
書籍『五本能人生論』を発行。
その後、80歳を過ぎても毎日会社に出勤し、お客様からのご相談に電話やお手紙でお応えし続けました。
平成27年3月27日
馬油と梅雲丹の研究、効果の啓蒙に捧げた生涯を終える、享年88歳。
五本能人生論 直江 昶 著 人間は何のために生きているのか
二十世紀初頭、一高生藤村操は世界の哲学者に人生不可解の疑問を投げかけて、日光華厳の滝から投身自殺した。百年近く不可解のままだった藤村操の疑問に迫る!! 『人間は何のために生きているのか?』と言う、「人生の基本的疑問」を図解して解いた世界最初の本です。
※一高生とは、旧制第一高等学校の生徒のことです。
コラム「五本能人生論を読み解く」とは 五本能人生論を読んだ方が、各々の価値観によって読み解き、その考えを発表する場として本コラムを設けました。社内、社外問わず多くの方の見解を掲載して参ります。