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人は欲のままに生きていいのだろうか



人間の心は、五種類の本能(五本能)が中心部にあり、その五本能から発生した多くの欲望群が、絡み合い混合して中心部を取り巻く第二層を構成しています。さらに、第二層の欲望群からは、欲望を遂げようとする欲求意識が発生し、それらは地球を取り巻く気体のような感じで、第三層を構成しています。(P24)

私たちは何気ない日常の中で、「〇〇が食べたい」「〇〇が欲しい」「〇〇のようになりたい」…等といった欲を抱えながら生きています。
これらの欲は強い意志をもたずとも自然発生的に生まれてくるものばかりです。
ちなみに、私たちが日ごろ良く耳にする人間の欲求は、三大欲求(睡眠欲・食欲・性欲)と言われるもので、生理的欲求のことであり、アメリカの心理学者であるアブラハム・ハロルド・マズロー(1908年4月1日 - 1970年6月8日)が人間の欲求の階層(マズローの欲求のピラミッド)として主張した事でよく知られるようになりました。

一般的に私たち人間は、「本能」と「欲望」が全く異なるものという認識を持ちながら日々の生活を送ってはいません。
自然発生的に心に浮かんでくる欲を、欲のままに行動したり、時に自制したりします。
欲のままに生きていれば大変なことになりますから、自制することが優秀であるかのように考えることもあります。
私自身も子供のころに「ボク、我慢できてエライね」なんて言われて胸をはったことを思い出します。
また、時には欲を持つこと=怖いこと と感じることがありませんか。
強い欲を持ったために暴力や罪を犯してしまったり、競争相手を陥れてしまったり、戦争になったり…。
それらを恐れて欲を持つことは良くないことだ、と思い込んでしまうことも多々あります。


五本能人生論によれば、「人間は欲望を追及して生きている」のでありますが、その「欲望」とは、人間の「本能」から発生しているものあると定義しています。
つまり、「本能」と「欲望」は異なるものなのです。

- 人間の心は本能・欲望・欲求意識の三層に分かれている。
- 人間の本能は五本能(生命・生殖・安楽・慈愛・信頼)に分類される。
- 人間の本能は万人一様である。精神的な本質であるので人によって違わない。
- 欲望とは本能を実現すべく本能から発生するもの。
- 欲望は先天的、後天的な要素によって多少の違いはある。
- 欲望を遂げようとした時に欲望から発生する心情が欲求意識。


ちなみに…
私は、本能・欲望・欲求意識の三層の関係性を分かりやすく理解するために、欲望に従順だった学生の頃を思い返してみました。
まだ午前中の講義が終わってないにも関わらず、お腹をグーグーならせながら、「腹が減った!何か食べたい!」と思うのは五本能の一つ「生命本能」から発生した「欲望」です。
その欲望を遂行するために、「チャイムと同時にいち早く学食に飛び込み、列に並ぶことなく本日のサービス定食を手に入れよう」という心情が「欲求意識」です。
心の三層を正しく理解することは本書を読み解く上で大変重要なことではありますが、一度読んだだけでは、分かったようで得心が行かない方も多いようです。
皆さんも、自分のことに例えてみることをお勧めいたします。

心の三層を理解するということは、人間の「欲」というものの本質が明確に分かり、正しく欲を持つことができるようになることです。
欲を持つことを恐れず、正しく行動ができれば、楽しさ、嬉しさに溢れた人生を全うすることになるでしょう。

それにしても、人間の心の本質を三層に分けて定義したことはとても画期的で読めば読むほど驚きを隠せません。
最後に、直江氏も人生名人と表現した松下幸之助氏の言葉を紹介したいと思います。

人間の欲望というものは生きる力であるから、これを抑える必要はない、善導することは必要であるとしても、欲望そのものは、決してなくすることを考えたらいかん、欲望は適当に培養しないといかんと、かように思うんです。
(松下幸之助)




このコラムを書いた人:杉山英治

企業ブランディング戦略構築コンサルタント。
薬師堂グループのCI構築に携わる過程で五本能人生論に出会い、「人間は何のために生きているのか?」という壮大なテーマの泥沼に陥る。
株式会社デザイントランスメディア 代表取締役。



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